刺青と「民族の誇り」「尊厳」について
刺青文化を持つ国は世界中に分布しています。ファッションとして気軽に取り入れる若者が多い国もあれば、アイデンティティーの象徴として取り扱われてきた国もあるといった具合で、その存在感はまちまちです。
ただ、どちらかというとネガティブなイメージを抱く傾向が強いと考えていいでしょう。
本来の意味で伝統的な刺青を保存している国はごくわずかにすぎません。これは日本でも見られる事象です。
戦士や王族の象徴としての刺青
人類にとって狩猟採集生活が主流だったころ、すでに刺青の習慣は始まっていました。
実際に用いられたデザインなどがほぼ記録されることなく消え去った風習ではありますが、永久凍土から発掘されたアルタイ王女やアルプスの氷河から見つかった「アイスマン」の皮膚に刺青が確認できた点から、社会的に一定以上の身分を持つ人々が施すものであったのではないかと考えられます。
彼らが施したモチーフはそれぞれの属する種族ごとに異なったはずです。
当時の刺青は「トライバルタトゥー」として正しい意味を備えていたからです。
麻酔薬が存在しなかった時代に痛みを乗り越えてまで刺青を入れたのはなぜでしょうか？
おそらく、その理由こそが「民族の誇り」であり、「尊厳」だったのです。
残念ながら刺青（タトゥー）はもはやあまり一般的な習慣ではありません。
もし「トライバルタトゥー」にあこがれて自ら意味あるデザインを体に施したとして、「誇りある戦士だ」と見てくれる割合は低いでしょう。
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